「こちらはブルーサファイアが入ってるんです。ペアで付けられるんですよ」
店員さんの手の中で光るネックレスは、透かしになっている男性用のクロスの中に、小さな女性用のクロスがピッタリ収まる創りになっていて、
男性用、女性用共にブルーサファイアが一石ずつあしらわれていた。
「綺麗ですね」
深い青に吸い込まれそうになる。
「これにします」
店員さんはとびきりの笑顔で、「ありがとうございます」と頭を下げた。
「ラッピングは、ふたつご一緒がよろしいですか?それとも…」
「あ、女性用だけ包んでもらえれば…。男もんは、そのままください」
美人な店員さんは、言われた通り、美空の分だけをかわいい箱にいれ、ラッピングを施してくれた。
「お買い上げありがとうございます。素敵なクリスマスをお過しください」
俺は店員さんとは目を合わせず、薄く笑って紙袋を受け取った。
素敵なクリスマス、か。
俺達にとっては最初で、
そして最後の…
クリスマスになる――…。
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