冷たい風が、頬を掠める季節になった。
街を歩く人達は厚手のコートを羽織り、マフラーやニット帽が欠かせない。
店の至る所にイルミネーションが施され、街がクリスマス色に染まろうとしている。
「ただいまー!あー、寒かったぁ〜」
学校から帰った美空は、コートを脱ぎながら2階の俺の部屋に来た。
「美空、おかえり」
「いいなぁ、海都は!こんなに寒いのに部屋から出なくていいんだから!」
美空は口を尖らせた。
たまたま今日は、バイトが休みなだけなんだけどね…。
「そんなに寒かった?」
「すごく寒いよ!雪降りそうなくらい!」
美空は石油ストーブに手をかざして、冷えた指先を温めている。
俺に向けられた背中に、そっと近付く。
「じゃあ…あっためてやろうか?」
耳元で囁きながら、後ろから抱きしめた。
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