俺から目を逸らしたまま、美空が言う。


「ぅ…ぁ…で、でも、海都…あたしは海都の、ぉ、お姉ちゃんで、海都とは…血が……」



「そんなの関係ない」




俺は動揺しながら話す美空の言葉を遮った。



「俺は、『俺の姉貴』だからってねーちゃんを好きになったわけじゃない。
好きになった女が、たまたま『血が繋がった姉貴』だっただけだ」




「………」



美空は俺の言葉に、黙って俯いた。




…ホントは、血なんて繋がってなければ、美空をこんなに動揺させることもなかったんだけどな…。





「…別に、ねーちゃんとどうこうなりたくて言ったわけじゃねーからさ。
ただ、俺の為に犠牲になろうとしてるねーちゃんを見てられなくて、俺の本心を伝えただけだから。
だから、これからも今までと変わらず『仲のいい姉弟』でいような」



俺は笑って、俯いたままの美空の頭を軽く撫でた。



そして、少し外に出ようと立ち上がった俺を、




「…海都!」



美空が呼び止めた。





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