「…その男のこと、本気で好きなのかよ?」


「……」


「そいつ、ホントにねーちゃんを幸せにする覚悟で付き合ってんのか?」


「……」


「ねーちゃんは、そいつと一緒にいて…幸せ?」


「……」



美空の目から、大粒の涙が零れた。



「俺は、好きな女をこんな風に泣かせたりしない。好きだから、哀しい涙じゃなくて嬉しい涙でいっぱいにしたい。
その男…本当にねーちゃんを大事にしてくれてんのか?好きな女を守るのが、男の使命なんじゃねーの?」


美空は声をあげて泣き、俺にしがみついた。



「海都…海都…なんであたし海都みたいな人と付き合えなかったんだろ…」



俺の胸でわんわん泣く美空の頭を、優しく撫でた。



俺みたいな人、じゃなくてさ…

俺と付き合ってよ、美空。

美空をこんな風に泣かせたりしないから。

俺の愛であたためてやるから。


だから――…。








この日は美空のベットで、泣き疲れて眠る美空に腕枕しながら眠った。







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