「私達が言いたいのは、『愛し合ってはいけない』ってことじゃないのよ」
母さんの長い髪が、風に乗ってふわっと揺れた。
「俺達の愛した美空と海都が、お互いを必要とし、愛し合う。俺達にとっては、最高に嬉しいことなんだ」
「そう。だけど、忘れないでいてほしいの。美空と海都は、本当はイトコという関係だけど…
ふたりとも、私達の…掛け替えのない娘と息子なのよ」
「父さん……母さん…っ…」
ふたりの姿が、だんだん霞んでくる。
それは、俺の涙のせいなのか、醒めそうな夢のせいなのか、わからないけど……
ずっと遠くで、父さんと母さんは手を振ってくれている。
「海都〜!何があっても…美空を守り通すんだぞ〜!!」
「あなたたちなら大丈夫だから〜!幸せに…幸せになりなさい!」
父さんと母さんは、眩しい光の中に吸い込まれていった。
それを見送った俺も、やがて夢から目を醒ました。
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