「海都、お前は昔から『おねーちゃん、おねーちゃん』って…美空の後ばっかりついて回っとったなぁ」
皺の寄った細い手が、俺の頭を撫でる。
「…いつか、こんな日が来るだろうと思ってたよ」
ばーちゃんは俺の頭から手を離し、遠くを指差した。
そこにいたのは……
「…父さん…母さん…?」
仏壇の写真でしか見たことのない、
柔らかな笑顔だった。
「海都…すまなかったな。真実を告げられないまま俺達が先立ったから、お前と美空を…悩ませてしまった」
20代後半の父さんは、やはり誠二おじさんとどこか似ていて…
でも、とても穏やかな印象だった。
「海都。あなたと美空は…姉弟よ。例え本当に姉弟としての血のつながりではなくても。」
美空によく似た、綺麗な女性。
…母さん。
母さんの言葉に、ドクッと心臓が高鳴る。
「でもね……」
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