「え?菜摘ちゃん?連絡こないよ。どうしたの?」
「あー…アレだよ、アレ。菜摘、来月結婚式やるじゃん?」
「うん」
「で、親族だけ一回事前に集まって、…リハーサル?みたいなのやりたいらしくて」
「へぇ〜、そうなの?知らなかったぁ」
美空が寝ぼけてて助かった。
俺のうまくない嘘に気付かず、信じこんでくれる。
「で、そのリハーサル、今月の31日だって。場所は菜摘が結婚式やる教会で、時間は10時半。
リハーサルだから私服でいいらしいよ」
なんとかそれらしく嘘をまとめると、美空は「わかったぁ〜」と気の抜けた返事をし、寝ると言って電話を切った。
嘘ばっかついてごめんな、美空。
自分の気持ちに嘘をついて美空と別れたあの日から、
俺は嘘をついてばかりだ。
でも、これが最後。
最後の嘘だから、許して。
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