「ごめんね、友達から電話で」



電話を終えた美空は笑顔で戻ってきた。



「電話って言えばさ…」



美空は昆布巻を掴み、口へと運ぶ。



「海都が…番号変わってなくてよかったよ。連絡手段絶たれるかもって思ってた…」



美空は、電話がつながってホッとしたよ、と優しく笑った。








あ…そうか。



番号変えるとか、着信拒否するとか…全然考えてなかった。





やっぱり、俺ってズルイ奴だよな。



美空からの電話を、心のどこかで待ってたんだ。












「…さっきの電話、彼氏…?」



意を決して、俺は美空に問い掛けた。



震える声が、何ともカッコ悪い。






美空は、あははと笑いながら、手と首を横に振った。



「違うよ〜!さっきの電話は、高校の女友達。
来月、菜摘ちゃんの結婚式あるでしょ?それに着て行くドレス買うのに付き合ってもらうんだ」




イトコの菜摘の結婚式。




俺が美空と別れる決断をした出来事。





…すっかり忘れてた。






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