「あ…ごめん。ちょっと……」
美空はケータイを手に持つと、席を立って部屋を出て行った。
……男…?
ゴニョゴニョと何かを話しているのは聞こえるけど、会話の内容までは聞こえない。
「うん、わかった!じゃあ、明日10時にリアルスノウでね!」
最後の一言だけ、なんとか聞き取れた。
リアルスノウっていうのは、この辺の高校生がよく集まる喫茶店。
やっぱり、男かな…。
そうだったら、俺と美空の真実…言わない方がいいよな。
せっかく新たな一歩を踏み出してるのに、
美空が混乱するといけないし。
今日、真実を告げようと思っていたのに、俺はどんどん弱気になっていく。
…カッコわりぃな、俺。
ホントに好きなら、この気持ちを思いきり美空にぶつければいいのに。
『美空に迷惑がかかる』なんて理由つけて躊躇ってるけど…
本当は、自分が傷付くのが怖いんだ。
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