俺はテーブルの上に落ちた小皿と箸を拾った。
「だから、俺がやるって言ったのに。『ねーちゃん』は座ってろよ」
…わざと、『ねーちゃん』って呼んでみた。
さっき、『美空』って呼ばれて嬉しそうな顔して見えたのは、俺の勘違いか…確かめたかったから。
…あ、でもやっぱり……
美空、なんか少し…傷付いた顔してる。
わかんねぇよ。
俺のこと、まだ好きでいてくれてるのか。
俺は弱い頭であれこれと考えを巡らせた。
でも、どんなに考えても、答えは見つからなかった。
そりゃ、そうだよな。
答えは、美空の心の中にしかないんだから。
俺は、美空の作ったおせちを口に運んだ。
まずは伊達巻き。
「うんっ、うまい!」
「ホント?よかった!ばーちゃんほどじゃないけどね」
「や、ばーちゃんと同じくらいうまいよ!」
久しぶりに美空の手料理を堪能していると…
突然、美空のケータイが鳴った。
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