私は練習が終わってみんなが更衣室に帰り掛けるところで、いつものように登先輩のところへ行った。



「登先輩。今日も自主練するんで、鍵貸して下さい」



私のセリフを聞いて、登先輩はバスタオルで髪を拭きながら言った。



「今日は止めたら?」

「えっ?」

「昨日、溺れたんだろ?」



そう言って手の動きを止めて、こっちを見る。



「でも、もう大丈夫です」



登先輩は、ハァ、とため息を漏らした。

そして。



「無理させると、後で兄貴達に叱られるんだけど」

そう言いながらも鍵を渡してくれる。