「美雪」

まだ部屋の入口に立ったままの隆志先輩。



「はい?」

「真佐志に聞いたけど……僚二に助けられたと、思ったんだって?」



ああ。



「状況が似てたもんで」


「別にいいんだけど。でも、ちょっと気になったから」


「えっ?」


「……いや、大丈夫みたいだから、いいんだ」



そう言って隆志先輩は、一瞬、切なげと言うか苦しげと言うか、なんとも言えない笑顔を作った。



でも。



「じゃぁ、俺も行くから。希未ちゃん、美雪が退屈しないように、話し相手になってやって? じゃ」

すぐいつもの表情に戻り、そう言って隆志先輩の姿が見えなくなる。