私は海を見ながら、あの頃の事を話していた。 心が一気に、あの頃の自分と同化していた。 「僚二。……僚二の居ない夏が……また終わるね……」 心の中で呟いた筈が、思わず声に出ていた事に気付き、ハッ、とする。 ああ、そうか。 今までは心の中で僚二に話し掛けていたから、声に出す必要がなかったんだ。 でも。 ずっとあの頃の事を話していたから、つい声に出ちゃったんだね。