「……美雪……」 お兄ちゃんの悲しそうな顔。 「……僚二は、波に飲み込まれて……行方不明なんだ」 ど、う、して? 止めてよ。 私は人垣を掻き分ける。 「ねぇ、僚二? 何処?」 周りの人の顔を1人1人確認しながら、海の方へ歩いて行った。 「美雪、落ち着け! 今、捜索隊が海を探してるから」 後ろから隆志さんの声がした。