「あっ、うん」

返事をして、私は歩き出す。



「大丈夫か? 頭、フラフラするなら、肩貸すぞ?」

隣りを歩きながら涼が言った。



「ううん。大丈夫」

私はそう返事をしただけで、後は無言で体育館を出た。

体育館を出ると、すぐ合宿所との通用口。



「じゃぁ、また。今度、それ取りに来るから」

涼は私の手にある上着に目をやってから、そう言った。