「今日は転校生を紹介する。川崎入れ!」

「川崎美波(カワサキ ミナミ)です。よろしくお願いします。」

「みんな仲良くするんだぞ!じゃあ席は山村の隣な。山村たのんだぞ」

「はーい。」

私は親の都合上転校することが多い。だからきっとまたすぐ転校してしまう。だから友達なんていらない。だってそうでしょ?みんな私を忘れてしまうのなら、初めから誰の心にも残らないほうがいい。そんな事を思っていた。

「川崎さん!俺ね山村透(ヤマムラ トオル)みんなには山ちゃんって呼ばれてるから川崎さんも山ちゃんって呼んでね!わからないことあったらなんでも聞いてよ?」

「…うん。」

「ところで何部入るか決めた?」

「帰宅部…。」

「なんでよ?入らないの???」

「…うん。」

「てかさぁ川崎さんなんてよそよそしい呼び方やめて俺的みーちゃんでいいと思うさ!どうよ?」

「えっ?」

「えっ?みーちゃん決まり?いいよね?俺センスあるー」

「…みーちゃん?」

「うん。それではあらためて、みーちゃんよろしくね。」

この男の第一印象は正直うるさいだった。だけどニックネームなんてつけられたのは初めてで、すっごく嬉しかった。
そして私は初めて恋する気持ちというのを知ったのだった。