こんな風景も明日で最後なのだ。



かえでが言ったように、私たちはこの中学校を、明日卒業する。



いっぱい笑って、泣いて、怒って、バカやって、授業して・・・。




たくさんみんなとの思い出が作られた場所。




ふいに校門の前でかえでが止まった。


「うちら、こーやって登校するの、明日で最後なんだね・・。」



「か、悲しいこと言わないでよ!!」



「あ、門閉まっちゃうよ!」


海は一足先に門へ向かった。



「・・・・、悲しいよね。」




ふいに暖かな風が吹いた。




この暖かさで、桜もぐんぐん成長してくれるだろうか。



「・・行こう?」




「・・・・・・、うん。」



少しためらった後、小走りで門に向かった。



あの時、かえでの目が潤んでいた気がした。




あの目を正面から見つめたら、自分に移ってしまいそうな気がしたから、



真剣にあの瞳を見ることはできなかったのだけれど・・・。