「海ちゃん、ご、ごめっごめんね!」



海ちゃんは私の住んでいるマンションの向かいのマンションに住んでいて、小学校からの



親友なのだ。



「ううん、へーき。おはよ。」



「お、おはよ。」




いつもながらの他愛も無い話で盛り上がった。



でも、私たちの家から学校まで、徒歩3分なのだ。



だから、私の家からも学校が見えるし、海ちゃんの家からも学校が見える。



・・にもかかわらず、私のせいで、いつも遅刻ぎりぎりだ。




海ちゃんには悪いと思っているが、やっぱり朝の眠気には勝てそうも無い。




「あ!彩芽、海!」



ぽつんと、ぴょんぴょん飛び跳ねながら手を振っている人がいる。




「ん?見えない、あ!かえで?」





「うん、だね。」




海ちゃんも私も視力がとても低い。



私はコンタクトを毎日つけているが、海ちゃんは授業中しかしないので、なんとも生活が



しずらそうなのだ。


遠くの看板を見るにも、黒板の字を見るにも、数十メートル離れた人の顔を見るにも、


目を細めるため、少々目つきが悪く見える(さらに視力も低下してきている)





「おはよー。」





「「おはよー。」」





かえでとは、中学で知り合った友達だが、部活が一緒だったので、非常に仲がいい。





朝の私と母の言い争いの話をすると、かえでも海ちゃんも爆笑した。




「時間割ったって、もう、明日卒業式ジャン。」


「だって、学活くらいでしょ?あ、あと式練か。」

笑いながら海ちゃんが言った。


「ほら、でも、マッキーとか。いつも持ってきてないし。」


「持ってきてないの?いれっぱでいいじゃん。」


「いつも持ってこようって思ってるんだけどさぁー。」



「無理だね、彩芽は忘れっぽいもん。」


「んなっ!」


2人はまた笑った。