しかし、着信が入っていたのは最初の二日間だけ…
それ以降はパッタリだ。

ケンジは退院後も全く連絡をして来なかったし、あれ以来店に飲みに来る事すらない。


こんな事は初めてだった。

ほとんどの男は私が誘うと直ぐさま連絡をしてくるし、その後もしつこく携帯を鳴らす。

私はあの男が何を考えているのかさっぱり分からなかった。


病院に通い詰めた事も、この前のデートも、女としての魅力を完璧にアピールしてきたはず。


うーーん。安く見られたのかなあ…


不思議とここ数日の間、私はケンジの事ばかり考えていた。

昨日もお客様の台帳を整理していた時、全く違うファイルにデータを入力してしまい、総務の部長に延々と説教されてしまった。


これじゃあ、立場が逆転だよ…


本当はユウコのどうでもいいような恋愛話なんて、聞いている気分じゃないんだ。


「リサも何か悩み事?」

ユウコが腫れぼったい目をウルウルさせながら私の顔を覗き込む。


「ふう…」

思わず大きなため息が漏れた。