今まで感じた事のないオルガズムに陶酔しきった私は、虚ろう目で横でタバコを吸っているケンジの身体を眺める。


これが、ついこの前まで入院していた男の身体だろうか…?

身長は170にも満たないケンジだが、その身体は筋肉が隆々と浮き上がり、節々に落ちた影は、学生の頃美術の時間に見た事のある彫刻のように綺麗なラインを描いていた。


「ねえ、ケンジって何かスポーツやってたの?」

「ん?何で?」

「だって、この筋肉…」

私はケンジの胸元を指でなぞった。

「スポーツらしいスポーツはやってないけどなあ…
まあ、強いていうならケンカくらいかな」

そう言ってケンジは天井を見つめたまま笑った。


ふ〜ん。
よく見るとカワイイじゃん。

ケンジの顔は笑ったら目尻にしわが寄り、ヤクザとは思えない優しい顔つきになる。

背が低いのは差し置いて、セックスも良かったし、お金の羽振りも良い。

彼氏にしてあげるのも悪くはないかも…