前を見ていなかったせいで、誰かにぶつかってしまった。

顔から正面衝突したせいで、鼻がいたい…。


「いったぁ……」

すると、前から手が伸びてきて

「ごめん。大丈夫?」

と私の腕を持って起こしてくれた。


………!!
こ、これって運命の出会い?!
学校でぶつかって、助けてくれる王子様なんていたんだ……!

急いで相手の顔を見ようとした瞬間


ぐいっと後ろから引っ張られて
その勢いで後ろによっかかる形になってしまった。

「せ、先輩っ!?」

先輩は私の前に腕を回し
「沙姫、ちゃんと前見て歩かないと」

と言ってきた。


「優先輩じゃないっすか。」