「な〜〜ん〜〜でぇ〜〜〜!?」
「だから無理かもって言ったじゃん!」
今目の前にいる彼……
いかにも不機嫌ですっていうような声で、めんどくさそうな顔をしているのは…
私の好きな人、『今井 春樹』中学3年生。
「でも楽しみにしてたのにぃ〜〜〜〜!!!!」
そうやって彼の目の前で膨れっ面をしている私……
『川瀬 優希乃』高校2年生。
そもそもなんでこんなに膨れているのかというと……
(1週間前)
付き合ってないけど、大好きな彼とデートしたくて来週の日曜日はあけといてって誘ったの。
彼は来週は模擬試験だったかもしれないから無理って…。
まぁその時に無理って言ってはいたけど……
そう言っていつも補習かもしれない…とか、塾の日かもしれない…とか言うけど、だいたいいつも違ってるんだよね。
っていうより当たってる方が珍しい。
そのせいで毎回デートは叶わず……
だからど〜せ今回も絶対違うと思って、今回こそは!ってす〜ごく楽しみにしてたのに〜。
こんな時に限って本当になるなんて……。
「ん〜〜ひどい〜〜〜(泣)」
つい悲しすぎて涙目になっちゃう。
ホントにへこむ。。。
「だ〜か〜ら〜。俺悪くないって…。無理って言ったし…。
だいたい受験生なのにデートなんてしてる暇ねぇ〜っての。お前も他の奴誘えよ。」
その言葉にますますシュンとなってしまう。
「春くんとじゃなきゃやだ〜。」
ぼそっと聞こえないようにつぶやく。
「じゃあずっと無理だね。」
そういってめんどくさくなったのか家に向かって歩きだす。
聞こえてたのね…
っていうかこんなにいつも誘って、私の気持ちも知ってるのにひどくない?!
「もー!!ひどいっ!」
「春くんとがいいんだもん!なんで春くんが好きなのに他の人誘うのよっ!?もういいっ!ばかっ!」
ちょっと睨んで春くんを追い越して帰る。
「っえ?お、おいっ?」
後ろで戸惑ってる声がきこえるけど、もう無視…
はぁ〜〜……
今日は仲良く帰ろうと思ったのになぁ。
話したいこともいっぱいあったのに。
高校生の私と中学生の彼…
学校も年齢も住んでるとこも全然違う私たちだから待ち伏せしないと会えない。
もちろん春くんが待ち伏せしてくれるわけないし。
朝は春くんが乗る電車の駅で待ち伏せ。帰りは春くんの学校近くのコンビニで待ち伏せ。
偶然じゃ会えないのわかってるから、こうして必然的に会えるようにしてる。
そしたらいつかは好きになってくれるかもしれないから……。
ううん。好きになってくれなくても今はただ一緒にいたいから。
こうやって必死に会えるようにしなきゃ会えないのにどうやって好きになったかって……
親友の高橋 柚(ゆず)の弟、啓くんの同級生だから。
啓くんの通う学校はすっごくレベルの高い中学で…
あまり頭の良くない私は来ることもなかったんだけど。
3ヶ月前に一度、柚が啓くんに学校まで忘れ物を届けにきたときについてきたのがきっかけで。
啓くんと一緒に出てきたのが春くん。
見た瞬間一目惚れしちゃったの。
だってね、絶対に中学生にはみえないくらい身長高くて落ち着いた雰囲気。切れ長の眼。サラサラの茶色っぽい髪。
黙ってたら怖く見えるんだけどクールっぽくてかっこいい。
まさに私のタイプだった。
それから次の日に告白して私のうざいくらいのアタックが始まったんだけど……。
最初は振り向いて欲しくて付き合ったりしたくて頑張ってたんだけど、春くんのめんどくさそうな態度みてたら無理だって思っちゃって……
だから今はただそばにいれたらいい。
告白の返事はいつも
「今は恋愛に興味がないから」
って言われる。
だから興味がでたときに傍にいるのは私であって欲しいなぁって……。
それからもう3ヶ月…
無関心でめんどくさそうな彼に、毎日毎日おしまくりの私。
それでもめげない私ってある意味すごい。
けどそうやって3ヶ月の間に春くんのいろんな一面を知れたから無駄じゃないんだ。
春くんは見た目通り無口なこと。めんどくさがり屋。
身長178センチ。運動神経よし。頭もよし。顔よし。
彼女いない。作る気がないらしい。
興味もなし。今のところ?
柚の弟の啓くんと仲良し。
あと、まだ1回しかみたことないけど笑うとかわいい。
……そして同じ学校でもそれ以外でもかなりもてる!
だからライバルはいっぱい。駅で一緒にいてもすごい睨まれてる。
でも気にしてられない!
春くんと一緒にいたいんだもん。
彼女じゃないくせにって、春くんファンの女子によく言われるけど…
春くん彼女いないんだから誰がいたっていいじゃん?
そうやって開き直ったら、柚によくやるよね〜って呆れられてるし。
誰が何ていおうと傍にいるんだから!
でもこうやってうまくいかない。。。
っていうか私の気持ちだけが大きくなって、春くんとこんな言い合いになることもしばしば……
傍にいれるだけでいいとかいいながら、どんどん求めてしまう。
夢では付き合ったりしてるのになぁ〜…
起きたら虚しくなるよ…
なんか私って健気〜…(笑)
ってことは、おいといて。
どぉ〜〜〜しよ〜〜〜。
春くんに、「ばか」って言ったまま帰ってきちゃった。
はぁ〜…。
謝った方がいいよね。
って…
私春くんの携帯知らないや。
3ヶ月たっても何だかきけない。
聞いても春くんはめんどくさがり屋だから、教えてくれないかな。
メールとか電話とかしそうじゃないし。
よし。
明日朝駅で待ち合わせて謝ろう。
翌朝いつものように自分の駅から一駅歩いて隣の駅に行く。
いつもの待ち伏せ場所。
いつもの時間。
ただ…いつものワクワクする気持ちじゃない。
今日は緊張してる…。
どうやってあやまろうかなぁ。
許してくれるかな?
それともめんどくさくて無視?
なんだか会うのが怖い。
春くんがくるまであと5分か〜。
「ねぇ。」
ん?誰か呼んだ?
振り替えると、小さな女の子。中学生かな?春くんと同じ制服。
色が白くて目もぱっちり。髪はサラサラ…ちっちゃくて守ってあげたくなるような。
お人形みたい……女の私が見てもかわいい。
「ねぇってば!」
あっ見とれてた。
「は、はい?」
「あなたまた春待ってるの?」
「えつ?あ…そう。」
春くんのファン?なんか怖い…。
「やめてくれない?私昨日から春は私のなの。」
「えっ?…」
それって……付き合ってるってこと………?
春くん何にも言ってなかった…。
あっ。違うか…
昨日は私が勝手に怒って帰っちゃったから。
もしかしたら春くんは報告しようとしたのかな?
そもそも報告するような仲でもないか……。
でも女に興味ないっていってたのに……
って……そんなの断る口実だよね。
なんだ…ちゃんと興味あったんじゃん。
興味はあったけど私じゃだめだったってこと?
そっか…そうなんだ…。
「ねぇわかったの?!もう待ち伏せとかしないでね。実依が一緒に行くんだから。わかったら、さっさと学校行ってよ。もう春きちゃうじゃん。」
私はただ黙って立ち去ることしかできない。