リンゴとミカンの事情

「ミカン、今日も楽しかったか?変な男たちにいやらしい目で見られなかったか?」


「大丈夫だよ。オレを好きになる男なんていないから」


ミカンはリンゴにバイバイと手を振って家の中に入って行った。


「また明日も頼むぞ」


キウイはそう言って中に入って行った。


「はいはい」


リンゴは呟くように返事をすると自分の家に帰った。
白い部屋にリンゴはいた。
見たことのない真っ白い部屋だ。

中央にソファがあって、リンゴは座っていた。


「ミカン」


目の前にはミカンが床に座っている。

だが、恰好に息をするのも忘れるほど魅入ってしまった。

制服ははだけ紺色にピンク色のステッチの入った下着がリンゴの目に晒される。

肩紐がズレ下がって大事なところがギリギリ見えそうになっているのが、余計にやらしい。

捲れ上がったスカートの裾からショーツの紐らしきものが見えていて、神秘がそこにあると予感させる。
白い肌がなまめかしく、眩しい。


早く触ってみたいという気持ちを抑えながら、ミカンに何かを指示をする。


ミカンはまるで猫の様に這って近づいてくる。


太股に手を乗せて膝を立たせると、リンゴのシャツをはだけさせて、唇を鎖骨に寄せた。

猫の様に小さい舌が見える。


ミカンが顔をよせる度にリンゴの胸の下の辺りに柔らかいものが当たるのがたまらない。

だが自分からは手はださない。

従順なミカンをもう少し、堪能したい。
ミカンの頬に手を当てて耳に唇を近づけ囁くと、顔を赤くしたミカンは恥ずかしそうに頷いてリンゴの胸に手を這わせながら身体を下げて行く。

指が腹筋をなぞった瞬間、目が覚めた。


「なんつう夢だ…」

夢でミカンにさせようとしていたことを思い出すだけで、申し訳ないような気になる。

けれど

健全な男子が好きな女の子があんな格好で出て来たら喜ばないはずがない。


願望と言えとも、ラッキーだと思った。
「おはようリンゴ」


何の因果が神の嫌がらせかミカンと家の前で鉢合わせしてしまった。


今日、この時だけは会いたくなかった。

あんな夢に勝手に出演させてしまった揚句、自分の欲望のはけにしてしまった罪悪感が拭えない。


「おう」


何事もなかったかのように歩くが、隣を歩くミカンはやっぱり気になる。

実際には制服の中だが、


「なぁ、話し聞いてる?」
「え?悪ぃ」


気を取られてしまい、反応が遅れた。


「何だよ!せっかく、ブラ…」


「なっ!朝からお前何言ってんだ!」


土下座でもして謝ろうか思うくらい、焦った。
「え?何って?ラブラドールの子犬を飼うから、今度見に来るか?って聞いただけだって」


ラブラドールレトリバー。のブラかと納得しながら、平静さを取り戻した。


「犬飼うのか?」


「うん。雪梨(ゆきなし)兄ちゃん飼って良いって来週もらって来るって」


小さい頃から動物が大好きだったから念願が叶って本当に嬉しそうだ。


「良かったな」

「うん」
笑った顔はやっぱり可愛い。


これが自分のモノになればと願わない日はない。


告白する勇気もないのに、そんなことばかり考える。



昼休み。5時間目に当たる英語の訳を忘れていたことを思い出した。

ケータイの辞書に無かった単語をを図書室から借りて来た辞書で手早く済ませた。



それを返すためにまた図書室に向かう。

そういえば、教室にミカンがいなかったことに気づく。

いつも教室で煩いのに、どこに行ったと言うのか?
図書室は東棟の2階の奥にある。


考え事をしていて気づかなかった。

階を間違えていることを。

図書室のドアを開けると、夢の中の姿のままのミカンがいた。


想像以上だ。


紺色の下着に白い肌が映えて際立つ。

形のよい胸は下着から零れんばかりで、触ってみたいと思う。


くびれた腰、細い手足、全てが完璧な少女がいた。


「げっ!お前何してくれてんの?」