「……そう言えば、なんで突然健がループに気づいたんや?」


竜太が聞く。


「それが、全くわからん……急にや」


健が答える。


「あっ!竜二にあの時計見せた?」


「あっ!」


健は急いで机の引き出しを開けて金の丸い時計を取り出した。


「これちょっと見てくれへん?」


そう言って竜二に時計を渡した。


瞬間、竜二の顔がひきつったかのように見えた……が、次に見たときには不思議そうに時計を見つめていた。


「どぅ?なんか見覚えとかある?」


伸也が聞く。


「いや、さっぱりやわ。死んだおじいちゃんの時計にちょっと似てるなーってぐらいかな。っちゅーかこんな時計、いったいどうしたん?フタもないし、動かへんし」


竜二も同じく、時計を裏や表にクルクル回して電池入れやネジを探している。


「なんか庭に落ちとってんけど、わけ分からんから置いといてん。これだけは時間がループしても、残ってるねん」