……この人には会ってみた方がいいかもしれんなぁ……今日帰ったら、みんなに言おう……


そう思い、最後の本を読みだした。


─『スプーン曲げのやり方』……結局スプーン曲げなんてものの大半は力技、もしくは見せ方である……


「あ、そう」







16時。


一通り本に目を通した健は重要な所だけを書き出して図書館を後にした。


今から家でミーティングする、と伸也に電話をし、竜二は帰りに誘おうと思い線路沿いを自転車で走っていた。


竜二の家の近くの細道を曲がった時だった。


「健っ!」


健の真後ろから、どこかで聞いたことがあるような声に呼び止められた気がした。


ビックリした健は慌てて後ろを振り返った……が、後ろには誰もいなかった。


辺りを見渡してみても子供すら見当たらない。それどころか車一台も通っていなかった。