電話越しに、伸也の震える声が伝わってきた。


「健、それは大事に持っといてくれ」


「うん。言われんでも持っとくよ。あ、伸也は何か発展あった?」


「いや、全然やわ。まぁもうちょっと何か考えてみる」


「うん。ほなまた何かあったら連絡してな」


「うん。ほなまた」


ピッ


10時、36分 通話時間3分5秒


「とりあえず、何しよかな……」


健はそう独り言を言って、その場にゴロンと転んだ。


「待てよ……もしかしたら……もしかしたら、次は時間が進むかも知れん……」


そう小さな期待を持った健は、時間が進むかどうか調べるため、この日はじっと待つことにした。






23時50分。


ついにこの時間が来た。一人で待つのが恐くなった健は、伸也を呼んで健の部屋に座っていた。