健は白色の玄関のドアを開け、中に入った。カレーの匂いがする。家族の姿が見えないが、どこかに出掛けてでもいるのだろうか?


入って左にすぐ2階へと通じる階段があり、健はすぐに階段を上がった。2階に着くと、すぐ左に茶色のドアがある。そこが竜二の部屋だ。ドアを開けると、カーペットの上に適当に敷かれた布団の上に、竜二がニタニタとあぐらをかいて座っていた。


「まぁ座れや!」


横に座れと促すように、竜二はポンポンと布団を叩く。健は無視して竜二の正面のカーペットに座り込んだ。


「ほんで、朝早ようから何の用や?」


健が頭をポリポリかいて、眠たそうに聞く。


「ええ感じの曲できたから、聴いてくれへん?」


嬉しそうな竜二は、早速枕元においてあった茶色のエレキギターを手に取ると、弾き語りを始めた。


……


……


「おぉ、なかなかええ曲やんけ!」


健は驚いて言った。いつもよくわからない曲を作っていた竜二だったが、今回は上出来だ。