スタンディングの客席の中は暗くて、照明で青くなっていて、人が２００人も入るとギューギューになりそうな広さの空間に、１５０人余りの人が入っている。


客席の壁にもバンドのステッカーやポスターがベタベタ貼られていて、ステージには黒い幕がかかっている。


１０分ほど客席の後ろの方で待っていると、けたたまし い音と同時にステージの幕が上がり、竜二たちのバンド演奏が始まった。


「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます！最高のカウントダウンライブをします！」


ボーカルの智也の声で、曲が始まった。ライブハウスが振動するほどの爆音に、客は皆体を揺らしたり、前の方ではリズムに合わせてジャンプしたり、手を上げたりしている。


健も曲に合わせて体を揺らしていた。


「皆、ノッてますか？残念ながら、次の曲で最後の曲になってしまいました。曲の前に、後ろの大きい時計を見てください。今、時間は２３時５９分です！僕らと一緒に時計を見ながら、カウントダウンしましょう！いきますよ！」


智也の声で客がいっせいに時計を見て、カウントダウンが始まった。


「カウントダウンが終わると同時に曲が始まります！いきますよ！」


皆が智也と声を合わせ、歓声をあげた。カウントダウンが始まった。


「５！」


「４！」


「３！」


「２！」


「１！」