２００９年、１２月２９日。



ジリリリリ！


「ふぁ〜……。うるさいなぁ。そないに朝から精一杯鳴らんでも、わかってるっちゅーねん…」


カチャ。目覚まし時計のけたたましい音と共に、佐藤健は目を覚ました。時計の針は９時丁度を指している。面倒くさそうな面もちで布団をめくり上げると、朝の寒さで冷えた部屋の空気が健を襲う。


「寒っ！」


健は半分眠っている体を起こし、身を擦りながら部屋のドアを開いた。


健は大阪府立の高校に通っている三年生で、大学も指定校推薦で決まっている。髪は短髪で少し茶色に染め、ルックスはそこそこ。家庭も貧乏ではなく、どちらかと言うと裕福なところに住んでいて、去年となんら変わりのない平凡な冬休みを過ごしている。


「おかん、飯！」


と、大きな声で言いながら眠たそうな目をこすり、部屋を出てすぐ右の階段を降り、食卓に入った。