雪江と健はフラフラと力いっぱい逃げると、バーの隣の一軒家に来た。


インターホンを鳴らすと、雪江は大声を上げた。


「すみません!包丁を持った男が暴れてるの!助けてください!」


すると、インターホン越しに驚くべき返答が来た。


「自分でなんとかしろやボケ!」


「そんな……警察だけでも、呼んでくだい!」


すると、家のドアが開いた。


玄関には、包丁を握り締めた二人の男女が立っていた。


「うるさい。それ以上叫ぶと、殺す」


雪江と健はあとずさり、家から離れてフラフラと急ぎ足で歩きだした。


「どうなってるの?!」


「俺にもわかりません……とりあえず警察を……」


「そうね」


雪江は携帯電話を取り出すと、警察に掛けた。


「もしもし、警察です」