「言ってみろ」


「実は……私は2009年12月31日の23時59分、彼女と車でドライブをしていたのだ。I市のP交差点を走っていたときだった……急に高校生が飛び出してきて、交通事故になったんだ。そのとき、私は一度死んだ。あまりにもその彼女との3日間が楽しかった。彼女も同じ気持ちだっただろう」


「事故……」


「……その事故の時、高校生の持っていた三つの時計のうちの二つがフロントガラスを破って私と彼女の胸に一つずつ命中した。そしてあと一つは、高校生の胸に。そのとき、私たちの強い思いが、神の時計には私の魂が、女神の時計には彼女の魂が、そしてなぜか時の時計にも高校生の魂が宿った。そして私は、この世に生き返った。時間が戻ってな。私はそのとき、神に心から感謝した。だが……彼女は生き返らなかった。彼女のいない世界になんか用はなかった。もううんざりだった」


黙って聞く健。