「一人にしてすまんな……でも、これでお前は助かる」


伸也は手の平から火の玉を出した。


「アホか!こんなんで生きるの嫌じゃ!」


「健……バイバイ。弘満、頼んだぞ。カタキをとってくれ」


火の玉は勢いよく伸也から放たれ、健を包むと同時にとても大きな光を放った。


「やめろぉぉぉ!」


光はだんだん薄れていった。


そこにあったのは、健の姿と、伸也の携帯電話と、神の時計だけだった。


「伸也ぁぁぁぁ!」


健は地面を叩いて何度も泣いた。


そのとき、伸也の携帯電話が鳴った。


健は泣きながら電話の通話ボタンを押した。


「どうだ健。楽しかったか?」


「弘満……お前……どうなっても知らんからな……」


「ハハハハ。もう一つ面白いことを言ってやろう。解放の光を受けたな?あれは、実はループの呪縛から逃れられるものではない。本当の能力を教えてやろう。受けた者は、永遠の地獄に行くものだ。出口のない、永遠の地獄の迷路を歩き続ける、最悪の魔法だ」