そう言って健はポケットをまさぐった。


……が、時計がない。


ポケットに女神の時計、神の時計を両方入れていたのに……


「ふーん。これが神の時計かぁ。お前のポケットまさぐったとき、時計二個あって全然意味わからんかった。これで解放の光ってのができるんやな?」


「……え?」


「実はさ、今日僕の方が朝早く起きたやろ?んでそのときお前うつ伏せで寝てたんやけど、左右両方ポケットが見事に同じ形にふくらんどんねん。おかしいなあと思て……だって時計は一個しか持ってないはずやのに同じような時計を二個も持っとるんは、おかしいやろ?せやから、なんとなく嫌な予感がしてお前が寝てる間に時計を一個もらった」


まさか……


健はゆっくり顔を上げると、伸也は神の時計と女神の時計を手に持っていた。


健は今、神の時計を伸也に渡してしまったのだ。


「健……お前のことやから、どうせこんなことやろうと思った。いつも人のために一生懸命で……今回もこの時計で僕を助けるつもりやったんやろ?必死さが異常やったからな。まあ何でお前がこの時計持ってんのか知らんけど……」