「わかった。気ぃつけてな。弘満おったら、すぐ連絡して」


「うん」


そう言って伸也は家を出た。


正直、伸也に記憶が戻ってよかった。


一人だと、混乱して押し潰されそうになってた……


とりあえず、伸也が帰って来るまで、何か策がないか考えた。







12時。


プルルルル、プルルルル……


伸也からの電話がきた。


「伸也!」


急いで電話に出た。


ピッ


「もしもし、伸也?」


「健。あかんかった。あいつおらんわ」


「……そっか」


健はため息をついた。


「店員に聞いたけど、弘満ってのは29日でバイト辞めたんやって」


「先手を打たれたか……」