プルルルル……プルルルル……


カチャっ


「もしもし?」


「弘満さん?あんた……俺を騙したな」


「え?どちら様ですか?」


「とぼけんな!」


「……ふーん。お前、まだ記憶があるのか。驚いた。普通なら記憶は消えるのだが……やはりお前は消さなければならないな」


「竜二をおかしくしたのは……やっぱりお前やな?」


「あぁ。俺の本職は泥棒でな。お前の家に忍びこんだとき、不覚にも時計を落としてしまった。やはり女神の時計を触られるとまずいんだよ。ループに気付いてしまうからな」


「あの時計は、お前が……」


「ああ。お前が邪魔になった。だから、俺はお前の親友である竜二を脅した。お前が死ねば健は助かる、そう言ってな。竜二が火の玉を出しただろう?あれは聖の光じゃない。解放の光だ。あれは受けた者を、また29日に戻す光だ。ただし、あの光を受けた者はこのループの呪縛が溶けて、時間が進む。だが解放の光を出した者は、聖の光を受けるのだ」


「え、つまり……」