「うぁっ!」


健は再び倒れた。今度は足が折られた。あまりの激痛に、健は立ち上がれなかった。


「健……、お前ほんまに時計持ってるんか?弱すぎるぞ。蹴っただけで足が折れるわけない」


「うるさい!俺は弱くないわ!弱いのはお前やろーが!たとえケンカが強くてもなぁ、時間が過ぎていくのが怖いお前の方がよっぽど弱いやろーが!」


健は泣きながら叫んだ。


「……終わりか?どうでもええからかかってこいよ」


竜二はそう言うと、健の胸ぐらを掴んで上にあげた。そして、健の口元を殴った。


健のアゴが、音を立てて砕けた。


「うわぁあ!」


その衝撃で、健は吹き飛んだ。


「畜生……竜二!お前最悪じゃ!」


泣きながら最後の力を振り絞って立ち上がると、竜二はもう目の前にいた。


「健……言いたいことは、もうないな?」


そう言った竜二の目は、一瞬うるんでいた。


泣いているのか?


しかしすぐに残酷な竜二の顔に戻った。