よく見ると、確かに左の後輪が雪掘りをしている。


「わかりました」


女性の要望に伸也が答えると、三人は車の後部に両手を当てた。


「行くわよ」


その声と共に、女性はアクセルを踏んだ。それと同時に、全力で押す三人。


キュルキュルと音を立てながら、車は進み出した。


「おぉー、成功!」


と、竜二の声。三人は車に向かった。そのとき、運転席からの女性の声。


「ありがとう。乗って」


そう言って、助手席と後部席のドアを開けた。


「すいません」


健が女性に一礼すると、健は助手席に、竜二と伸也は後部席に乗った。


「で、どこまで行く?」


女性が聞く。


「あ、ここから一番近い飲食店でいいですよ」


遠慮がちに健が答えた。


「おい、健」


そのとき、背後から伸也の声。


「何や?」