健と竜二が同時に突っ込んだ。


「でも、ここでずっと待ってたらめちゃ寒いで」


「そうやけど、こんなとこ車めったに通らん」


「あっ!あそこに停まってるの車やで!乗っけてもらお」


健が喋りきるまでに伸也は車を見つけ、走り出した。


「おい、伸也!あれ、ベンツやぞ!」


「いける、いける!」


健と竜二は顔を見合わせると、しょうがないなというふうに伸也の後を追いかけた。


「すいません。ちょっと近くの飲食店まで乗っけてもらえないですか?」


伸也が運転席に向かって言うと、驚くほど綺麗な女性が中から現れた。


背中まで伸びた茶色の髪。凛とした目。整った顔立ち。世の中にこんな人がいるのかと思うほど綺麗だった。


「うわー」


その美貌に、思わず声が漏れる竜二。


「あ、ちょうどよかった。タイヤが、雪にハマッちゃったみたいなの。ちょっと君たち、後ろから押してくれない?助けてくれたら、飲食店まで乗せて行ってあげるわ」