「そろそろ良い時間ですな」

泉は店内に置かれている時計を眺めて言った。長原を見るとすでに出れる準備をしている。こうやって何気なく友人と過ごす事は世間では常識なんだろう。哲也は無性に2人が羨ましくなり自分の置かれている環境が恨めしくなった。

「もうこんな時間かよ?泉ちゃんの妹の中学ってここから近いの?」

泉によるとモッツァからだと自転車で15分もあれば行けるらしい。

「じゃあ、俺も行く!なんか今日はそんな気分だ」
「別にいいけど、ただ妹を迎えにいくだけだぜ?」
「OK、無問題」

今はまだこの時間を過ごしたい哲也はただそう思っていた。