「泉ちゃん知ってる人?」

去って行く二人を眺めて哲也が言った。

「いや、全然知らない人。あったことないと思うよ」
「でも、あの人泉ちゃんの名前知ってたぜ何でだろ?」
「いつも一緒に裕といるが俺も面識がない」

長原も全然心当たりが無いのか不思議そうな顔をしている。哲也は1人テンションがあがって来るのがわかった。そこには常に予定通りに過ごしている哲也には経験したことが無い『ハプニング』だったからだ。

「今度聞いてみようぜ」

このままうやむやにするのは勿体ない。哲也は泉たちに提案してみた。


「聞いてみるってどうやって?名前も知らないんだぜ?」
「また同じ時間帯に来てみるとか」
「たまたまかもしれないし、難しいと思うぞ。それより隣にいた制服の人はウチの学校の人なんだからその人を探して聞いたほうが早いと思う」

長原が提案した。

「さすが長原ちゃん。頭良いねぇ」

こういうことは長原が提案すると上手くいくことは哲也も何となくわかった。言うならば行動するときは泉、頭を使うことは長原と互いに協力している。だから2人はずっと仲がいいのかもしれないと哲也は思った。