「やべ、何にするか迷うわ」

ドリンクコーナーにはさまざまな種類の飲み物が設置されている。普段あまりファミレスに来ることがない哲也にとっては新鮮なことだった。

「俺は炭酸にしようかな」

長原は早くもグラスにお馴染みの赤いマークの炭酸飲料を注いでいる。

「じゃあ俺はジュースで」

哲也もグラスに注いだ。長原は哲也が終わるのを待ってくれているのか席に戻らない。哲也は注ぎ終えると

「お待たせ長原ちゃん」
「いや、別にいいけど…1つ聞いていいか?」
「ん?」
「何かあったのか?」
「何かって何が?」
「俺の勘違いならいいが、さっき何か思いつめてなかったか?」

突然の質問に哲也はびっくりした。が、長原の顔は至って真剣だった。かと言って、長原に話す気は哲也には無い。

「それは気のせいだ。長原ちゃん」
「気のせいなら気にしないでくれ。何か何て言えばいいかわかんねぇけど…まぁ俺の戯言と言うことで」

長原は笑うと、

「クラスメイトなんだし何かあったら話してくれよ。別に知らない仲じゃないんだし。さ、席に戻ろうぜ」

長原はそう言うと、席に戻った。哲也も長原の後を追った。