「桜井でよかったな土田」

長原が哲也に言った。今日は始業式だけだったので早く帰ることができる。他の生徒にとってはうれしいことなのだろうが哲也にとっては帰ってもすることがないので嬉しいという気持ちがわいてこない。

「せっかく入った新入生に佐伯…かわいそうだな」
「でもそのお陰で俺と土田は救われた」

泉が笑いながら言った。泉と哲也は遅刻仲間なので度々一緒に佐伯に捕まったりする。

「1年の試練ということでいいんじゃない泉ちゃん」
「そうだな」
「ところで泉ちゃんたちこの後何かあんの?」

まだ帰りたくない哲也は泉に聞いてみた。すると、

「このあとモッツァに行くんだ」
「モッツァに?」
「妹を迎えにいくまでの時間つぶし」
「それにつき合わされる俺」

長原が泉に付け足した。どうやら2人で泉の妹を迎えに行くらしい。

「暇だから俺も行こうかな」
「土田も?」
「クラスメイトにもなったんだし親睦を深めようぜ」
「ただ暇なだけとも言えるけどな」

泉は笑うと哲也が来ることに賛成した。長原も2人よりか3人のほうが楽しいと言ってくれたので3人はモッツァに向かって行った。