「おい、どうしたんだよ長原ちゃん」

土田が長原に話しかけるが長原はどんどん先を歩いていく。

「どうしちゃったの?」

宮田が裕に聞くが裕も長原がこういう行動をすることはなかったので答えることができない。長原を先頭に裕たち4人は海岸通と夢ヶ咲大通が交差するところまで歩いてきた。

「時間的にもここら辺にいるはずなんだけどなぁ」

長原はあたりを見渡しながらつぶやいた。裕も長原に続いて周りを見渡してみたが辺りには海とジョギングコースなのだろうか舗装された道が続いている。長原は周りを見渡している裕たちを少し見ると何も言わずに舗装された道を歩いていく。その顔は何か緊張しているような顔をしていると裕は思った。

「海ってきれいだよなぁ」

先を歩いていた長原を追い抜いた土田はカメラをとり海に向けてまわし始めた。海は時間的に夕焼けに変わりそうな太陽が水平線の向こうで照らし裕たちを包む。サーファーたちの姿はここでは見られなかったが地元の人なのだろうジョギングをしている人や犬とともに散歩している人が数人いた。

「土田、あそこにカメラを向けてくれ」

海を撮っている土田に向かって長原が道の先を指差した。裕も長原が指差した方向を見ると一人の女性がいる。

「俺の見間違いじゃなければあれが長野に間違いないと思う」

長原が裕に言ったが裕はその言葉が耳に入らなかった。宮田も声を出すことが出来ないようだった。