教室に戻ってからの裕は放課後のことで一杯で授業なんか入ってこない。途中何回も注意されたりしたがまたすぐに上の空になってしまう。

「今しかできないことをとことん楽しんでみよう。」

どんな活動をしていいかは解らないが何もしないよりはマシなような気がするし長原たちと活動してつまらないわけがない。今はとにかく早く授業が終わってくれないかと教室にある時計を見る。楽しい授業のときはあっという間だったが、こういうときの1分は異常に長く感じる。

ホントに時計狂ってないのかよと言いたくなるほど長い授業が終わると待ちに待った放課後の時間がやってきた。クラスの連中は帰宅するやつ教室内で話すやつ部活の準備をするために着替えるやつなどいたが、裕は一目散に学食へ走る。放課後ここで集まることは教室に戻ったときに宮田にも伝えておいた。食堂へ着くと土田と長原がすでに座って席を確保している。長原は裕に気づくとここだと合図した。

「早いな」
「俺より土田の方が早かったぜ。」

長原が言うと土田は自分に指をさしながら

「こういうイベントの時は早いのよ俺」
「普段の遅刻の時もだろ」
「あれは佐伯がうるさいからな。でも泉ちゃんも遅刻ぎりぎりの時は早い。」
「ビシバシくらいたくないんで。」

裕が言うと土田は「確かに」といい笑い何かを見つけたらしく席から立ち上がった。裕は土田が見ている方を見ると宮田と西山ともう一人の女性がいる。昨日モッツァで見た制服の人だった。