たかが飯を食うだけなのに着替えに時間がかかった優美を待つと裕と優美は自転車に二人乗りして向かった。長原の家は裕の家から近い歩いて10分もかからないのだからご近所ということも会って親同士も仲が良くカラオケなどに出かけるときは大体どちらかの家で晩飯が用意されている。長原の家に着くとチャイムを押す前に長原は玄関のドアを開けた。

「時間通りだな」

優美が時間がかかることを予期していたのか長原は笑った。

「長原さん久しぶりです。」

後ろに乗っていた優美が自転車から飛び降りると裕は家の前に自転車を止めた。

「久しぶりだね。優美ちゃん部活がんばってる?」
「ハイ、練習で大変です。」

裕には久しく向けてない笑顔で優美は答える。この変身の様に裕は笑ってしまう。
長原が用意してくれていたカレーを温めなおしてるのを待ってると優美は

「兄、今日は遅かったね。また映画の話でもしてたの?」
「いや、今日は色々あって遅れた」
「色々って?」
「色々は色々だ」

裕は麦茶を飲みながら優美の質問を流した。始業式を迎え新しくスタートをした日に確かに色々あった。

「ありすぎて何から説明していいか、わからないんだよ」

さらに盛り付けたカレーをテーブルに置いた長原は優美に言った。

「そうなんですか?」
「そうなんだよ。」

裕はカレーを食べ始めながら今日あった出来事を説明した。優美は黙って聞いていたが公園での出来事に話が及ぶと「長原さんすごい」と褒めた。

「いやいや凄くないから」

長原が言うと優美は裕に向かって

「兄。長野さんのことはぶっちゃけまだ好きなの?」

と聞いてきた。