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 夢その二
「ルナ。グルナ。ルナ」
 耳元が五月蝿過ぎる。僕は、瞑っていた眼を開いた。
「……また、君かい? ここのところ毎日そう言ってるね。言われてみると思い出すんだ。君の存在を。一体何が言いたいの? 全然。そう、全然だよ。意味が何一つ分からない」
 見遣った先には、声を発する何か。真っ暗な部屋では無いのだけれど、どうしても全体像が見えてこない。一言で言えば、仄暗い。月明かりの弱いバージョンとでも言えばいいのだろうか?
「いい加減、気付いたらどうなんだい?」
「……? 何がだよ?」
「ることだよ。ことは駄目な事だろ?」
「……何を言っているのか分からない。日本語を喋ってくれない? ルコトって何だよ?」
「気付かないのは、自分のせいさ。そう、自分のせいなんだ。人のせいにしてはいけないんだよ? 何でそんな事も分からないんだ?」
 何を言ってるんだ? 百分の一も伝わってこない。ん? ん、百? くっ! またか、僕は耳を塞ぐ。ただ、聞こえるのは数字の羅列……。



 暗転。