「私達は、同じ高校に行って、いつも二人で居たの。確かにクラスメートとかからはブラコンとか言われたりしてたけど、私はそんなの全然気にしなかったわ。だって……、私は状の事が好きだったんだもん……。おかしいのは、分かってたよ。でも、私は状が好きだった。一度も聞いたことはなかったけど、きっと状も私の事を愛してくれていたと思う。双子っていうのは何かそういうのが分かっちゃうの。……でもあの日、……その日はね、私、風邪引いちゃって寝込んでたの……。それで……、丁度薬が無くて、お父さんと状が、車で薬局に私の薬を買いに行ってくれたの。……帰ってくるのが遅いとは思ったけど、私も具合が悪くて……その日は寝ちゃったの。そ、そしたら、ね……朝方にけ、いさつがき、てね……じ、事故があったって言うの。わ、私気が動転しちゃって……そ、そんな訳ありませんって言ったのにね、か、かくに、にんしてってぃぅ……ぐすっ、……あっ」



 随分と彼女を抱きしめていたように思う。分かりはしない。時計など見てはいない。
 しかし、こんな時に時計を見る様な奴なんざ、槍にでも貫かれて死んでしまえばいいと彼は思う。それはもう切実に、そう思う。