早食い選手権かのようにさっさと食べ終えた彼は、一服してテレビの音が鳴り響く騒々しい店内を出ると、どこに向かうでもなく歩き出す。
 マンガ喫茶でやっているナイトパックは午後の十一時からであり、それに対して今の時刻は八時過ぎである。実にそこには三時間の開きがあった。
 もう入ってしまって、延滞金を払うという手もあるにはあったが、金にも限りがある。
 そんな訳で、彼はまた手持ち無沙汰になってしまった。
 彼はどうするべきか随分と悩んだが、結局ゲームセンターに行くことにする。
 このまま街を眺めて歩いていたい気持ちもあることにはあったが、それをするには彼は疲れすぎていた。体力的にか? 精神的にか? と問われれば勿論後者の方だった。