修司が事故にあって死んだというのを聞かされた時、どれだけ私が泣いたのか、どれだけ悲しさのどん底に突き落とされたのか、きっとそれを修司は知らない。
「生き返りてぇー。」
「この世に未練タラタラですな。」
「わーるかったな。」
「タラタラ修司。」
「何だそれ。」
「修司のあだ名だタラ。」
「語尾にタラ付けんの止めろ。」
「ごめんタラ。」
「うざっ!」
いや、その事は知られたくない。
きっとその事を言ってしまえば、修司が今より更に成仏しにくくなってしまう。
きっと今より未練タラタラ修司になってしまう。だから、尚更言えないんだ。
私が修司の事をずっと好きだなんて。
そして、今でも好きだなんて。
口が裂けても言えないんだよ。
考えれば考える程苦しくなるそれがなくなれば、どんなにラクだろう。
修司とふざけあっている時ですら、心の奥底でこんな事を考えてしまう自分が嫌になる。
また、桜の花びらが風に吹かれて飛んできては私の肩に落ちたり髪をかすめたりする。そしてその花びらは、私の前で無邪気に笑う愛しい人の体をすり抜けてまた飛んで行く。何で、どうして。