かき消された言葉は一体何だったんだろうとモヤモヤし始めた私とは対照的に、空は修司を照らしていた雲の隙間からの光がどんどん大きくなって、スッキリとした晴れになった。

後ろで、電車が通り過ぎた後も鳴り続けていた音が止んで、フミキリが開く微かな音がする。
そして後ろを振り返ると、男の子が小さな花束を持ってフミキリを渡っているところだった。
「お姉さんも、修司先輩にお供え?」
その男の子は、幼いわりに顔が整っている。神さまって不平等だ。
「うっうん。親友だったの。
き、君も?」
急に知らない男の子に話しかけられたから、私は思わずどもってしまう。
「俺は、修司先輩にこのフミキリで助けられたから。ほぼいつも此処に来てる。」
「え...?
あなたが修司に助けられた男の子...?」
「うん。」
「そうなんだ、、」
修司が助けた子は男の子だと聞いていたけど、見たことはなかった。
だからびっくりだ。